遺産分割協議を行う時には、
法定相続人が確定されていることが必要です。
亡くなった人の出生から亡くなるまでのすべての戸籍を調査して、
法定相続人を確定する作業が、
完了していることが前提になるということです。
次の段階としましては、
亡くなった人の遺産には、何があるのかをはっきりさせることです。
たとえば、○○銀行□□支店の銀行口座と、△△証券会社の口座と、
土地と、マンションがあるといった感じです。
その内、預金については残高がはっきりとしていますので、
その金額を把握して、
証券会社の株などについては、分割時や、死亡時の時価などを参考にします。
土地については、
普通は路線価によって金額を出します。
建物、マンションについては、市区町村などから毎年送られてくる
固定資産納税通知書に評価額などが記載されていますので、
それを参考にします。
固定資産納税通知書がわからない場合には、
不動産のある市区町村役所の資産税課などで、
不動産の評価証明書を取得して、評価額を知る方法もあります。
遺産全体の評価額が出そろった段階で、
遺産分割協議をはじめます。
協議を行うには、法定相続人全員が集まって話し合うのが良いのですが、
それぞれが近くに住んでいるとは限りませんので、
電話やメール、手紙などで協議を進めることでも良いです。
最終的に遺産分割協議がまとまれば良いからです。
そして、協議がまとまったことの証明として、
遺産分割協議の内容を、文書にしたものを作成しておかないといけません。
協議自体は口頭でまとまればそれで良いのですが、
不動産の相続登記や、車の相続手続きの時には、
遺産分割協議書の提出が必ず必要となります。
その協議書には、法定相続人全員分の印鑑証明書各1通も、
添付されていなければなりません。
銀行や証券会社の相続手続きでは、
遺産分割協議書が絶対に必要という訳ではありませんが、
書面への署名や、印鑑証明書が必要なことまで協議しておく必要があります。
もし、銀行や証券会社、不動産などの相続手続きの必要な遺産がなければ、
相続関係者同士だけのことで済みますので、
遺産分割協議書が、どうしても必要という訳ではありません。
たとえ遺産分割協議書を作成したとしても、
実印や印鑑証明書がなくても、署名と認印でも良いでしょう。
また、遺産分割協議は、よく知らない相続人(隠し子など)がいたり、
海外在住でなかなか協議をすることが難しい場合でも、
話し合いが必要となります。
海外在住の相続人の場合、印鑑証明書の登録がないですので、
代わりにサイン証明、在留証明書といった書面を、
在住している海外の公的機関で、取得してもらう必要があります。
行方不明の相続人や、連絡先不明の相続人がいたとしても、
住民票や戸籍の附票を取得して、住所を調査し、
実際に会ったり、手紙や電話でも良いので、
遺産分割協議に参加してもらわなければなりません。
海外在住や、連絡先が不明だからと言って、
協議から外すことはできません。
法定相続人全員の合意のない協議は無効となるからです。
・ 遺産分割協議とは